- Anemoneユーザー調査では、体目的より会話や安心できる関係を求める声が多かった
- 特に女性ユーザーには、話し相手や友人、自分を1人の人間として見てくれる相手を求める傾向があった
- マッチングアプリは、利用目的や価値観を事前に確認しやすく、会話重視の関係を築きやすい
既婚者向けマッチングアプリというと体目的のイメージを持たれがちですが、
実際には、会話や安心して話せる関係を求めて利用している人もいます。
では、そうした人たちはどのような思いから相手を探しているのでしょうか。
Anemoneでは、研究者との学術的な共同研究(研究代表者:奈良女子大学・岡田玖美子先生)の一環で、ユーザー様へのオンライン・インタビュー調査を行いました。
ご協力いただいた皆様には、改めて御礼を申し上げます。
本コラムは、その分析の途中経過をふまえて、ユーザー様のご利用状況についてAnemone編集部がわかりやすくまとめたものです。
これまでのユーザー調査では、
相手との相性やフィーリングが関係性の満足度にどう影響するのかを
「マッチングアプリで『フィーリングが合う相手』と出会うには?【Anemoneユーザー調査①】」で取り上げてきました。
また、夫婦関係の中で生じるセックスレスの背景については、
「セックスレス夫婦に何が起きているのか|既婚者マッチングアプリ利用者のリアル【Anemoneユーザー調査②】」でご紹介しました。
さらに、安定した関係を築くうえで大切な考え方については、
「安定したセカンドパートナー関係を築くための4つの注意ポイント|【Anemoneユーザー調査③】」で整理しています。
こうした調査を重ねる中で見えてきたのが、
同じように既婚者向けマッチングアプリを利用していても、求めるものや心の動きは人によって大きく異なるということです。
今回の調査では、既婚者がなぜ「会話」や「安心して話せる関係」を求めるのか、そして配偶者や家族、職場の人とは異なる相手とのつながりに何を求めているのかに焦点を当てました。
本記事では、ユーザーインタビューから見えてきた背景をもとに、既婚者向けマッチングアプリにおいて「会話」が重視される理由や、その背景にある心理を整理していきます。
Anemoneユーザー調査の概要
| 項目 | 調査概要 |
|---|---|
| 調査期間 | 2025年8月〜12月 |
| 調査方法 | オンラインでの半構造化インタビュー |
| 対象者 | Anemoneユーザー(登録者に通知した調査依頼に応募してくださった方) |
| 回答者数 | 33名(男性15名/女性18名) |
| 年齢層 | 30代〜50代中心 |
本記事で紹介する内容は、Anemoneユーザー33名へのインタビュー調査をもとにしています。
会話がしにくい性風俗では心が満たされない

「肉体関係」が第一目的という回答は少数だった
今回の調査で、Anemoneを利用する目的として「肉体関係」と明確に回答した方は、男性2人(15人中)、女性1人(18人中)でした。もちろん、「結果的に」あるいは「延長線上に」肉体関係に至ることは意識している方は多かったものの、それが第一目的という場合は意外と少ない印象でした。
今回の調査では、対象者を「Anemoneアプリで異性とチャットや実際に会った経験がある人」「マッチングが成立したことがある人」を中心として募集しました。そのため、Anemoneアプリで一度もマッチングが成立していない人や、本調査に協力されなかった方の中には、「肉体関係」が第一目的の方も一定数おられることは考えられます。
ただ、今回インタビューにご協力いただいたユーザーの語りからは、体の関係そのものよりも、まずは「相手と話したい」「関係を築きたい」という思いがうかがえました。こうした点は、一般的に持たれがちなイメージとは少し異なる結果だったといえるかもしれません。
性風俗では満たされない「ちゃんと話せる相手」へのニーズ
特に複数の男性の回答者から、以下のような発言がありました。
- 婚外の関係として利用しやすい(お金を払えば相手が見つかる)のは性風俗産業のサービスだが、「時間が決まっていて、会話がしにくい」
- 「向こうは性サービスを仕事としているのに、会話がしたいと引き留めるのは申し訳ない」
- 「体は満足するが、虚しい」
調査のなかでは、「昔は単に自分よりも若くて見た目のよい女性がよかったけど、いまは年がそれほど自分とは違わない、人生経験があってちゃんと話ができる相手を求めている」と語った50~60代の男性ユーザーもいました。
このように、Anemoneを利用するユーザーは、性的な満足感そのものではなく、あくまで肉体関係に限らない「相手との親密なコミュニケーション」を求めているようです。単に会うこと自体が目的なのではなく、会話を重ねながら関係を深めていきたいという意識が見えてきます。
そのコミュニケーションの段階を徐々に深めていく過程があるからこそ、相手との相性を確認しながら、安心して楽しめる関係性を築けると考えられます。
女性ユーザーにも見られた「最初から体目的は嫌」という感覚
女性ユーザーからも、「関係が深まる中で肉体関係が生じることはあってもいいと思うけど、最初から体目的の人は嫌」という声が多く聞かれました。
この点からも、男女を問わず、最初から身体の関係だけを前提とした出会いには抵抗感を持つ人が少なくないことがわかります。まずは会話や信頼関係を重ねたい、という感覚が大切にされているようです。
アプリ以外の出会いを知る人ほど、コミュニケーションを重視している可能性
また、今回の調査では、男女ともに半分以上の人がアプリ以外の出会いの場(合コン・婚活サービス、飲食店など)や趣味のコミュニティ、職場関係、元交際相手などとも婚外の関係性を持った、または持ちそうになったことがありました。
確かに既婚者向けのマッチングアプリのほうが、「より安全に効率よく出会いやすい」とメリットを挙げる方は多かったものの、アプリ以外でも素敵な出会いを経験したことがある人たちだからこそ、コミュニケーションを重視した関係性をアプリ上でも求めているのかもしれません。
出会いの手段が何であっても、相手とのやり取りや空気感を大切にしたいという感覚は共通しているとも考えられます。だからこそ、出会いやすさだけではなく、「どう関係を築けるか」が重視されているのでしょう。
安心して話せる友だちが欲しい

「異性の友人」「話し相手」「食事の相手」を求める人もいた
さらに、「肉体関係」以外のアプリの利用目的を「異性の友人」(男性4名、女性2名)、「話し相手」「食事の相手」(女性各1名)などと、恋愛以外の関係性を求めている場合もありました。その傾向は特に女性ユーザーに顕著でした。
ここからは、既婚者向けマッチングアプリの利用目的が必ずしも恋愛や身体の関係に限られないことが見えてきます。安心して話せる相手や、一緒に時間を過ごせる相手を求める声も確かに存在していました。
子育て中の女性ユーザーに見られた「誰か大人と話したい」という思い
女性たちの語りをより詳しくみていくと、まず子育て中の40代前後の女性ユーザーたちからは以下のような話が多く出てきました。
- 小さい子どもがいて家事・育児中心の生活なので、夫・子ども以外で話し相手がおらず、誰か大人と話をしたい
- 母や妻ではなく、まず「一人の人間」「女性」として見てほしい
- 知人以外の異性と家族関係や子育ての相談をしたい
未成年の子どもがいる場合、どうしても女性たちの生活は育児・家事中心になりがちです。もちろん、子育ての悩みはママ友や実母など周囲の人に相談するという場合もあるでしょうが、相手が身近な人だからこそ本音を話しにくかったり、日常生活から抜け出し切れない閉塞感があったりすることも。
家族を大切にしていないからではなく、むしろ日々その役割を担っているからこそ、別の立場で話せる相手を求めることもあるのでしょう。その背景には、孤独感や息苦しさだけでなく、「誰かと対等に話したい」という思いも含まれているように見えます。
「母」や「妻」ではなく、一人の人間として見てほしいという気持ち
母親や妻といった家族役割から一旦距離を置きつつも、そうした自分の状況も安心して話せる相手として、既婚者向けのマッチングアプリでの出会いが役立つ場合もあるようです。
家族の中で果たす役割とは別に、「自分自身」として見てもらいたいという気持ちは、多くの人にとって自然なものかもしれません。そうした気持ちを受け止めてもらえる関係が、心の支えになる場合もあります。
新しい人間関係が、自分の世界を広げることもある
また、小さな子どもがいない場合でも、配偶者とは異なる新たな人間関係を作るきっかけとしてアプリを利用している女性ユーザーもおられました。
- 気軽に飲みに行ったり、いつもよりオシャレなお店で食事やお茶をしたりする友だちがほしい
- 価値観は合うけど、日常生活では関係がない相手と話すことで、自分の世界を広げたり、共感し合ったりしたい
こうした声からは、単なる寂しさの解消だけではなく、新しい視点や刺激を求める気持ちも読み取れます。日常とは少し違う会話や時間が、自分自身を前向きに保つきっかけになることもあるのかもしれません。
身近な場所では新しい出会いを探しにくいという現実
こうした出会いは、何もアプリ上だけに限ったものではなく、日常生活の中でもありえるかもしれません。ですが、現代社会では互いの家族構成や収入などの個人情報を話すのは簡単なことではありませんし、気軽にSNSなどの連絡先を交換することに慎重な人も多いでしょう。
今回の調査でも、そうした距離の詰め方の難しさや、ハラスメントや人間関係のトラブルへの懸念から、「たとえ単なる友だち探しでも、身近なところで既婚者が新たな出会いを探すのは難しい」という声が多く出ました。
日常の延長線上では、関係を築くこと自体がかえって難しい場合もあります。だからこそ、最初から一定の目的や前提を共有しやすい場が求められているのでしょう。
マッチングアプリだからこそ、価値観や利用目的を確かめながら出会いやすい
マッチングアプリの場合、会う前のプロフィールやチャットの段階で、一定相手の情報や価値観、利用目的を知ることができます。また、都合のよい時間帯や活動エリアなど、どこでどう会うかという判断も比較的スムーズです。
このような点が家事・育児、仕事が忙しい人にとっても、日常的に出会いの機会が多くない人にとっても、大きな魅力となっているからこそ、マッチングアプリの利用が進むのだと考えられます。
事前に相手の考え方や利用目的を確かめやすいことは、安心感にもつながります。効率のよさだけではなく、関係の築きやすさという意味でも、アプリが選ばれていることがうかがえます。
マッチングアプリだからこそ重視されるコミュニケーション

以上の調査からわかったことをまとめると、確かにマッチングアプリは現代社会において便利な出会いのツールではありますが、実際に互いにとってよい相手と出会い、よい関係を続ける上では、お互いのコミュニケーションに対する態度や価値観が大切といえます。
ここがずれている相手とは、仮にマッチングが成立したとしても、その後の関係形成はあまりうまくいかないことが多いでしょう。
ときには「結果的に」肉体関係が生じる場合があるとしても、性風俗サービスではない以上、それを最初から目的とすることには、男女ともに抵抗感があるユーザーも多いことが今回わかりました。
何のために出会いを求めるのか、相手とその理由はマッチしているのかをよく見極めながら、自分にとっても相手にとっても無理のない範囲で、新たな人間関係を築くことができるといいですね。
今回のコラムでは、Anemoneユーザーへの調査から見えた、「会話がしたい」既婚者たちの実情について取り上げました。今回で全4回にわたって連載してきたAnemoneユーザー調査のコラムは終了です。
今後、より詳細な調査結果について研究者が論文や学会発表を通じて発信していく予定です。随時プレスリリース等での広報も予定していますので、ご関心のある方は引き続きぜひご注目ください。

