別居婚は、結婚しているにもかかわらず一緒に住んでいない、特定の結婚形態を指します。このスタイルは単身赴任と似たイメージを持つかもしれませんが、別居婚の場合は、双方が合意の上である程度会いやすい距離にそれぞれが住んでいるという点が異なります。

具体的な例としては、芸能界では樹木希林さんと内田裕也さんの夫婦が知られています。彼らは結婚して1年半後に別居生活を始め、40年間離婚することなく、別居婚を続けて夫婦生活を送りました。

別居婚は夫婦円満の秘訣なのでしょうか?

別居婚のメリット・デメリット

別居婚には、物理的に離れて生活するという特性上、不安要素も含まれているかもしれませんが、このライフスタイルが持つメリットとデメリットを詳しく見てみましょう。

別居婚のメリット

  1. 新鮮な関係を維持できる – 同居していないため、相手との関係が常に新鮮に感じられます。
  2. 相手の良さを常に感じられる – 距離があることで、相手の良い面を見失わずに済みます。
  3. ストレスフリーな生活 – 相手の小さなクセにイライラすることが少なく、ストレスを感じにくいです。
  4. 趣味や仕事に没頭しやすい – 自分の時間を大切にでき、趣味や仕事に集中できる自由があります。
  5. 自立した生活が送れる – 自分の生活を自分で管理し、自立性を高められます。
  6. 冷却期間を設けやすい – ケンカした際には自然と冷却期間が設けられ、感情を落ち着けやすくなります。

確かに、たまにしか会えないことで、同居している夫婦にありがちな新鮮味の喪失や、些細なことでの衝突が少なくなります。

別居婚のデメリット

  1. 浮気の不安 – 物理的な距離があるため、パートナーの浮気を心配する声があります。
  2. 子どもの感じる孤独 – 子どもがいる場合、親と離れて過ごす時間が多くなり、孤独を感じる可能性があります。
  3. 感情の冷めるリスク – 長期間離れて生活することで、互いへの感情が冷めてしまうかもしれません。
  4. 経済的負担の増大 – 二つの生活空間を維持するため、経済的な負担が増える可能性があります。

特に、浮気に関する不安は大きく、同じ建物内でも別の部屋であれば、不倫相手を招き入れやすくなってしまいます。

子どもがいる場合、親との距離が心の距離にも影響するかもしれませんが、両親が積極的に関わることで、これらの問題を最小限に抑えることができるでしょう。

また、互いへの気持ちが時間と共に薄れてしまう可能性や、経済的な負担が増大する点も、別居婚を考慮する上で重要な要素です。

別居婚が向いている夫婦

別居婚の利点と欠点を検討した後、明らかになるのは、別居婚が全ての夫婦に適しているわけではないという事実です。夫婦で離れて暮らすという選択は、一部の人にとっては「不安」を感じさせるかもしれません。別居婚が適している夫婦には、次の三つの特性があります。

  1. お互いが自立していること – 経済的にも精神的にも自立しており、自分の足で立って生活できることが求められます。
  2. 互いに対する強固な信頼関係 – どんな状況でも揺るがない、強い信頼関係が存在します。確かに、「相手が浮気をしても離れない」という程度の信頼関係が必要かもしれません。
  3. 常識に縛られない柔軟性 – 樹木希林さんと内田裕也さんのように、人生のイレギュラーを楽しめる柔軟な思考を持つカップルに適しています。

別居婚の始め方と終わり方

別居婚の開始方法

別居婚を始めるには複雑な手続きは必要ありません。お互いにじっくりと話し合い、住む場所、連絡手段、会う頻度などを決めます。特に、生活費や子どもの育成に関する計画は、しっかりと合意しておくことが重要です。

別居婚を終えるタイミング

別居婚は柔軟な結婚スタイルであり、必ずしも永遠に続ける必要はありません。例えば、関係が悪化してきたり、関係を再評価したい時など、期間を設けて試してみるのも一つの方法です。別居婚を終えるかどうかは、お互いの話し合いで決めます。

子どもが生まれた時も、別居婚を見直す重要なタイミングの一つです。母親一人での育児は負担が大きく、父親の存在は子どもにとって大きな安心感を与えます。もちろん、両親が近距離に住んでおり、すぐにサポートできる状況であれば、問題は少ないかもしれません。

別居婚と離婚の関係

別居婚は離婚する確率が高いのか?

別居婚が離婚へと進む確率について、厳密な統計データが存在しないため、別居婚から離婚する確率が高いかどうかを断定することは難しいです。それでも、感情の冷却や疎遠により離婚に至る場合、同居していた夫婦が性格の不一致などで離婚に至るケースと比較すると、比較的少ない感情的な摩擦で離婚が成立する可能性が考えられます。

同居していると、相手への当たり前の感謝が薄れ、離婚の際に争いが発生しやすいものです。一方で、別居婚では一定の距離感を保ちつつ他人として接することで、離婚時にも感情をコントロールしやすく、冷静な判断が可能になることがあります。

別居婚からの離婚におけるリスク

別居婚から離婚する場合のリスクの一つとして、財産分与の不明確さがあります。財産分与とは、夫婦共同で築いた財産を公正に分け合うプロセスのことを指します。別居している場合、日常の家計が分かれているため、共有の財産が少ない、または存在しないことがあり、その結果財産分与が行えない可能性があります。

さらに、不貞行為に対する慰謝料請求も、婚姻関係の破綻が理由で認められない場合があります。婚姻関係の破綻には、別居が典型的な例として挙げられます。例えば、不倫相手から慰謝料を請求したとしても、双方が別居しており婚姻関係が既に破綻していたと反論されることが予想されます。

このような状況で、別居婚をしていながらも夫婦関係が継続していたことを客観的に証明することが求められます。これには、どの程度頻繁に連絡を取り合い、会っていたかという証拠が重要になってきます。

まとめ

この記事を通して、別居婚という結婚生活の形態を解説しました。結婚というものは、多種多様なスタイルが存在しています。

別居婚は特別難しいわけではなく、たとえば些細な喧嘩や日常の窮屈さを感じた際に、試しに一週間程度距離を置いてみるのも一つの選択肢です。そういった短期間の別居から始めてみることで、新たな気づきや解決策を見出すことができるかもしれません。

ただし、距離を置くからと言って、相手への思いやりや連絡を怠らないことが重要です。離れている期間中でも、相手への配慮やコミュニケーションを忘れずに、関係を大切にすることが肝心です。