増える熟年離婚

最近の熟年離婚の増加が目立っています。2022年8月24日に厚生労働省が公開した「令和4年度離婚に関する統計の概況」によると、全体の離婚件数は2002年の29万組をピークに減少しているものの(2020年では19万組)、熟年離婚の割合は過去最高の21.5%に達しています。ここでいう熟年離婚とは、20年以上連れ添った夫婦の離婚のことを指し、この割合は2008年から上昇傾向にあり、現在ではさらに高まっていることが推測されます。

著名人の熟年離婚も頻繁に話題になっており、例えば、2021年7月には鈴木保奈美さんと石橋貴明さんが23年間の結婚生活を終えることを発表し、多くの人々を驚かせました。また、2020年6月には俳優の西村まさ彦さんが25年間の結婚生活に終止符を打ちました。海外でも、ビル・ゲイツ夫妻やシルベスター・スタローン夫妻が25年以上の結婚生活を終えるなど、長い間連れ添った夫婦が離婚するケースが見受けられます。

熟年離婚の背景には、不倫といった直接的な原因もありますが、子どもが独立したことを機に新たな人生を求めたり、夫婦関係における役割演じることに疲れたり、これ以上我慢できないといった理由が大きく影響しているようです。

「結婚」に関する価値観の変化

結婚に対する考え方や価値観が大きく変化している現代社会において、婚姻件数の減少が続いています。厚生労働省の「人口動態統計」によれば、2021年の婚姻件数は戦後最低を記録した50万件にまで落ち込んでいます。また、50歳までに一度も結婚しない人々の割合を示す「生涯未婚率」は、2020年時点で男性は約4人に1人の25.7%、女性は16.4%に上昇しており、1980年当時の生涯未婚率が男性2.6%、女性4.5%であったことを考えると、結婚に対する国民の価値観が劇的に変化していることが窺えます。

これらの数字は、現代の婚姻制度が社会の価値観に合っていない可能性を示唆しています。現在では、結婚をするよりも個人の時間や生活スタイルを優先したい、結婚によって自分の価値観や生活を変えたくないと考える男女が増加しています。さらに、男女平等に働くスタイルが広がり、夫婦共働きの家庭が66%にも達している状況(令和2年版「厚生労働白書」より)です。

このような背景のもと、経済的自立や価値観の多様化に伴い、生活や育児、そして男女双方のパートナーとしての役割を一人の配偶者に求める従来の婚姻の形が、制度としての疲労を示していると考えられます。

婚外恋愛ブーム到来!?

現在、日本では婚外恋愛が注目を集めています。Anemone(アネモネ)など既婚者向けのマッチングサービスが次々と登場し、全国各地で既婚者専用の出会いパーティーが開催されていることから、この流れは今後も拡大していくことが予想されます。

婚外恋愛とは?

婚外恋愛とは、結婚しているがそれとは別に持つ恋愛関係のことを指します。不倫や浮気と似ているものの、お互いの家庭を尊重し、離婚を目的としない、肉体関係よりも精神的なつながりを重視するなど、明確な違いがあります。この言葉は、一部では不倫や浮気といった負のイメージからの脱却を目指すものとして批判されることもありますが、純粋な恋愛としての側面を強調することで、そのような関係とは異なるものとされています。

婚外恋愛という用語が広まったのは、2002年に放送されたテレビ朝日系列のドラマ「婚外恋愛」がきっかけであり、その後2010年以降、社会現象として認識されるようになりました。さらに、2015年には宮木あや子による小説「婚外恋愛に似たもの」が発表され、2018年にはdTVでのドラマ化を経て、この言葉が社会により広く浸透しました。

婚外恋愛の実情

婚外恋愛に関する具体的なデータは存在しませんが、不倫に関する調査では、現在進行形で不倫をしている男性は27%、女性は16%に上り、さらに生涯における不倫経験率は男性が74%、女性が30%にも達していると報告されています。これらの数字から、婚外恋愛や不倫が社会において既に広がっている実態がうかがえます。

オープンマリッジという考え方

オープンマリッジとは、夫婦間での合意の下、それぞれが夫婦外の性的関係を持つことを許容する婚姻の形態であり、1970年代のアメリカのヒッピー文化の中で「性の革命」として生まれ、世界中に広がりを見せました。この婚姻形態の根底には、所有、独占、嫉妬からの解放という考えがあります。

オープンマリッジのメリット

オープンマリッジの主なメリットには、性的な束縛からの自由、個々の人生をより豊かに楽しむことができる点、そして慰謝料請求のリスクを避けられる点が挙げられます。夫婦以外との性関係が許されるため、セックスレスや体の相性に関する問題を平和的に解決できる可能性があり、さらには男女としての自己実現も可能になります。また、オープンマリッジが夫婦間で認められている場合、外部との性関係があっても慰謝料請求の心配がないため、離婚に関するトラブルを避けることができます。

オープンマリッジのデメリット

一方で、オープンマリッジにはデメリットも存在します。外部のパートナーへの本気の感情が芽生えるリスク、社会的な理解を得にくい点、オープンマリッジに関する悩みを周囲に相談しにくい状況などが挙げられます。配偶者が最優先であるべきオープンマリッジの枠組み内で、外部の恋人との関係が本気になってしまうと、夫婦関係や家庭の安定を脅かす可能性があります。また、日本社会では夫婦外の性関係=不倫と見なされがちで、夫婦公認であっても外部からの批判や偏見に直面することがあります。

ポリアモリー(複数愛・複数恋愛)という考え方

1990年代にアメリカで誕生し、世界中に広がった「ポリアモリー」は、全てのパートナーの同意のもと、複数の人と関係を持つことを指します。この概念は、「複数愛・複数恋愛」として日本語に訳され、性に限定されず、複数の相手に対して誠実かつ愛情深い関係を築くことを目指します。ポリアモリーでは、全ての関係が倫理的で、誠実であることが求められ、日本でもこの考えを公にする著名人が増え、注目を集めています。

ポリアモリーのメリット

ポリアモリーのメリットには、パートナーに対する罪悪感が少なく、複数の人と精神的に深い関係を築けること、さらに多様な経験をすることができる点が挙げられます。全てのパートナーとの同意のもとであれば、浮気や不倫のリスクがなく、それぞれの関係を存分に楽しむことが可能です。また、複数のパートナーとの愛情深い関係を通じて、一人の人では経験できない幅広い感情や人生の体験が可能になります。

ポリアモリーのデメリット

一方で、ポリアモリーにはデメリットも存在します。嫉妬の感情が生まれること、社会的な理解を得にくいこと、本当の愛についての自信が揺らぐ可能性があることなどが挙げられます。海外の調査では、ポリアモリストの約80%が嫉妬を感じたことがあると報告されており、心が理解に追いつかない場合もあるでしょう。また、日本ではポリアモリーへの認知度が低く、「気持ち悪い」と感じる人もいるため、社会的な理解を得ることは難しいかもしれません。そして、ポリアモリーへの偏見から「本当の愛が何か」について自信を失ってしまうリスクも考慮する必要があります。

分散恋愛という考え方

日本の恋愛シーンにおいて、「分散恋愛」という新たな概念が特に若者の間で注目を集めています。この分散恋愛とは、恋愛対象を一人に限らず、複数の相手と異なるタイプの関係性を築くことによって、恋愛を複数に分散させる考え方を指します。ポリアモリーと異なる点は、分散恋愛では相手に他のパートナーの存在を明かさず、相手からの誠実さも特に求めないという特徴があります。この恋愛スタイルは、一人の相手に全てを求め、精神的な消耗や束縛、嫉妬といった問題に陥りやすい従来の「重い恋愛」から脱却しようとする動きとして捉えられます。

最近では、この分散恋愛の考え方が婚外恋愛にも応用され、「分散婚外」などの新しい言葉も生まれ、いくつかの婚外恋愛コミュニティで実践されている様子が見受けられます。

分散恋愛のメリット

分散恋愛のメリットとしては、一人の相手との関係が終わっても他に恋人がいるため、精神的なショックが軽減され、より気楽に恋愛を楽しむことができます。また、異なるタイプのパートナーとの関係を通じて、様々な恋愛テクニックやデートのスキルが向上する可能性もあります。

分散恋愛のデメリット

しかし、分散恋愛にはデメリットも存在します。複数の相手との関係を維持することでスケジュールの管理が難しくなり、恋人にこの関係性がバレた場合には「浮気」とみなされるリスクがあります。さらに、このような恋愛スタイルを取ることで周囲から軽率な人だと見なされ、社会的な信頼を失う可能性も考慮する必要があります。

まとめ

結婚、離婚、そして婚外恋愛に関する日本の現状を概観してきた中で、結婚や恋愛に対する価値観が大きく変化していることが明らかになりました。特に、伝統的な不倫や浮気といった性的な関係性だけではなく、心のつながりや人生を共に歩む伴走者を求める動きが顕著になっています。このような変化は、一人のパートナーに限定されない男女の関係の形が広がりつつあることを示しています。

結婚生活において、夫婦関係外にもう一人のパートナーを持つことのメリットは大きく、夫や妻一人に全ての役割を期待することからくる不満を軽減する効果が期待できます。別のパートナーから心の癒やしや満足を得ることで、夫婦関係が改善され、より良い家庭環境を築く手助けとなり得るのです。

ただし、重要なのは、複数のパートナーを持つのではなく、信頼に基づいた関係を一人のパートナーと築くことです。軽はずみな関係を繰り返すことは、個人の精神状態や家庭環境に悪影響を及ぼす可能性があります。夫婦関係外のパートナーとして、互いの生活を尊重しながら支え合うことの大切さを忘れてはなりません。

既婚者向けのマッチングサービスや出会い系アプリでは、軽い関係を求める出会いも多いですが、Anemone(アネモネ)のような既婚者専用のプラットフォームでは、信頼できるセカンドパートナーを見つけることが可能です。結婚生活に新たな風を吹き込みたいと考えている人にとって、信頼と尊重を基にした関係性の構築は、これからの時代において重要な要素となるでしょう。